今回は、「ピアノ」という名称についてのお話です。
現代の一般的なピアノの正式名称は、pianoforte(ピアノフォルテ)といいます。
多くの音楽用語と同じく、イタリア語が用いられています。
強弱を表す p(piano…ピアノ)、f(forte…フォルテ)などもイタリア語で、楽器の名前の「ピアノ」と深い深い関係があります。
バッハやヘンデルの時代、つまりバロック時代に主流だった鍵盤楽器は「クラヴィチェンバロ」や「チェンバロ」と呼ばれ、細い弦を爪のような部品で引っかいて音を出しており、音量の変化が非常に少ない楽器でした。
その後改良に改良を重ねて、鍵盤に連動したハンマーで弦を叩いて音を鳴らす仕組みが発明されました。
また、弦を叩く力を加減することが可能になり、音の強弱を表現できるようになったのです。
そのためには弦を強く張る必要があったため、楽器そのものの規模もチェンバロより大きくなりました。
そこで付けられた名称が、イタリア語で「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(clavicembalo col piano e forte)」でした。日本語に訳すと「弱い音も強い音も出せるクラヴィチェンバロ」という意味です。
後に短縮して「ピアノフォルテ」もしくは「フォルテピアノ」と呼ばれるようになり、広く普及するに従って「フォルテ」の部分が省略され、「ピアノ」と呼ばれるようになりました。
イタリアでは今でも「ピアノフォルテ」と呼ばれていて、「フォルテピアノ」の名称は、やや古い時代の鍵盤楽器を指すときに使われています。
演奏会などでピアニストのプロフィールの欄に「pf.」と書いてあることも多いですが、それは「ピアノフォルテ」を省略したものなんです。チラシやプログラムなどを見る機会があったら、ぜひ注目してみてくださいね。
講師「おねい」=
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